2013年7月20日土曜日

税務の図書館

東京には税務関係の図書館があります。以下です。

公益財団法人 日本税務研究センター http://www.jtri.or.jp/ こちらは日税連の関連団体です。

公益財団法人 租税資料館 http://www.sozeishiryokan.or.jp/ こちらは、TKCの創業者が設立した団体です。

両方とも租税の図書館としては、蔵書もかなりありますし、大変有難いです。ただ、公益財団法人 日本税務研究センターは、土日祝日が閉館なのに対して、公益財団法人 租税資料館は土日も開館しております。したがって、公益財団法人 租税資料館をよく利用しています。

大学院で税理士試験の税法免除をする場合には、参考文献や参考資料を収集するのに、上記の図書館は欠かせない図書館です。


2013年7月17日水曜日

交際費課税の論文(転記禁止)

交際費課税の改正について

1、改正の概要
 交際費等の損金不算入制度における中小法人に係わる損金の特例について、定額控除限度額が600万円(現行)800万円に引き上がられるとともに、定額控除限度額までの金額までの金額の損金不算入措置(現行10%)が廃止された。注1
 適用時期は平成25年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用される。

2、交際費課税の目的
 戦後資本蓄積の促進に資するため、各種税法上の特別措置がとられたが、昭和29年、資本充実のため資産再評価の強制等が行われた機会に、いわゆる交際費の損金参入否認制度が設けられた。この措置は、他の資本蓄積と並んで、法人の交際費等の濫費を抑制し、経済の発展に資するねらいをもっていた。注2
判決でも「法人のする特定の行為について一定の政策的見地から法人税の課税の基礎となる所得の金額の計算に当たりそのために支出した費用の額を損金の額に算入しないものとすることによって抑制しようとする措置法61条の4の規定の趣旨と矛盾するものではなく、これとは異なる前提に立つ原告の主張等は、いずれも採用することができない。」(東京地方裁判所平成19年(行ウ)第655号法人税更正処分取消等請求事件、平成21年7月31日判決)注3と言っている。
ただし、5,000円基準の導入を堺に経済の活性化を図るという目的のために、交際費課税が当初と比較して緩くなりはじめている。

3、交際費課税の改正の評価とまとめ
 「自民党税調の資料では、中小法人の交際費支出額の平均額は、利益を計上している法人で160,3万円、赤字法人を含めたすべての中小法人で94,7万円」注4を踏まえると、経済政策としての効果は殆どないと考えて良いと考えられる。
 日本税理士連合会は「平成25年度・税制改正に関する建議書」では次のように主張している。「交際費課税における交際費等の範囲を見直し、社会通年上必要な交際費等の支出は原則として損金参入するとともに、定額控除限度内の10%課税制度は即時に廃止すること」注5を考えると税理士会の主張が通った形になり、評価は出来る。
 しかしながら、交際費課税で課税の目的は時代と共に変わると考えたとしても、冗費を節約し資本の蓄積をし、会社内に資金を内部留保させ、健全な経済発展をするという目的は普遍的価値ともいえるべき考え方であって、経済活性化の為に、極論で言えば、交際費課税を全廃するという考え方は間違いであり、交際費課税については、今後もなんらかの規制は必要と考えられる。


参考文献
  「税務広報」(2013年4月号)中央経済社
  山本守行『交際費の理論と実務』(2000年1月)税務経理協会

注書き
注1「税務広報」(2013年4月号)中央経済社 28頁
注2 山本守行『交際費の理論と実務』(2000年1月)税務経理協会 16頁
注3 タインズhttp://www.zeirishi.gr.jp/tains/tains.html (Z888-1550)
注4 「税務広報」(2013年4月号)中央経済社 29頁

注5 「税務広報」(2013年4月号)中央経済社 29頁

2013年7月14日日曜日

消費税の指定日

消費税の税率は次になります。

平成26年 4月1日より 8%  (指定日、平成25年10月1日)
平成27年10月1日より 10% (指定日、平成27年 4月1日)

(注)指定日とは消費税の引き上げの経過措置の基準となる日で、上記、指定日の前日までに締結される工事等の請負契約による譲渡等は改正前の税率が適用されます。

したがって、建築業者等は、消費税の税率が上がる事による駆け込み需要が多いようです。

2013年7月13日土曜日

会計ソフトの選定

会計ソフトの選定で悩む経営者は多いと思います。高い会計ソフトや安い会計ソフトは色々とあります。高いのは高機能で安いのは機能が絞られています。

売上高が何億もあり、部門がたくさんあり、高度な財務分析が毎日、必要となる状態ですと、高い会計ソフトで高機能な会計ソフトが良いです。ある会社の会計ソフトは高機能ですが、中小企業では、ここまでの機能はいらないし、その機能のボタンさえを押さないという中小企業の方が多いのです。

その場合には、安い会計ソフトで、機能を絞ったものが良いです。とはいえ、毎月、ある程度の財務分析を見たいとなりますと、安い会計ソフトでも、税理士事務所が見ていれば、税理士事務所で、高度な財務分析が出来るソフトを持っていますので、機能を絞った会計ソフトのデーターを読み込み、キチンとした財務分析は出来ます。

上場会社ですと、独自の会計ソフトですが、売上が2億程度まででしたら、そんなに高度な機能を搭載した会計ソフトは必要がないです。

2013年7月12日金曜日

借金を怖がっていませんか?

無借金経営を考えて自己資金を貯めて、いざ、事業を始めようとすると、自己資金を貯めている間にその事業が陳腐化したりして、せっかくのアイディアが無駄になるケースもあります。世の中のニーズは刻々と変わり、その変化に気がつかないでいると、単なる自己満足の世界になる事もあります。

会社に勤めてその会社に長くいることは、その会社では使える人間になるかも知れませんが、いざ、転職をしてみると、自分の能力が全く使いものにならない事があります。理由は、変化に対応出来ないという事です。これは、長く同じ会社にいた人の共通点です。

ただ、資格を持って、その能力で生活をしている人たちは、その資格の守備範囲までは他の会社でも役立ちますが、それ以外では役立たない事が多いです。

今は、同じ会社に一生いるという考え方は崩壊していますので、他の会社でも使える能力を身に着けるという考え方もありますが、私は週末起業というWワークを提案したいと考えています。

田舎ではWワークが多いですよ。皆さん意識をしていないと思いますが、休みの日に農業をやりそうでない日は、サラリーマンをやる事は立派なWワークです。

同じ会社にいるリスク、それは変化に対応できないということ、それと、法人の赤字率が7割から8割の中、何時リストラされるかもしれないリスクを回避するには、Wワークはリスクを分散していて良いやり方です。

自己資金がなく、週末起業を断念したりなどもあるでしょうが、借り入れをおこなうという事はレバレッジ効果を出す事ですので、借り入れを怖がるほうが逆にリスクがあるケースもありますので、借り入れを怖がらないで欲しいと考えています。

税理士を決めるとき

これから事業を始めるときに、個人経営で小規模でしたら青色申告会や商工会議所に頼むケースが多いと思いますが、個人事業者でも消費税の課税事業者になるまで大きくなったり、法人となると税理士に頼む事が多いでしょう。

税理士に頼むときに、税理士紹介サイトで見つける経営者もいるでしょうし、知人の紹介で税理士を見つけたり、友人に税理士がいると頼みやすいでしょう。

どのような方法であれ、今後のパートナーとなる税理士を選ぶには慎重になる必要があります。報酬の安さだけで税理士を選ぶのも危険ですし、会社を良い状態にしたいという気持ちがあるならば、親身に相談にのってくれる税理士を選ぶのも良いでしょう。

税理士が提供するサービスは多種多様ですので、私に相談があればお気軽にどうぞ、メールでご連絡下さい。

2013年7月10日水曜日

NPO

2012年4月1日から、NPOの会計報告書が改正されました。NPOはこの改正前は1取引2仕訳という複雑な会計でしたが、この改正により、普通の複式簿記になりました。

NPO法人会計基準が出来上がり、活動計算書、貸借対照表、注記、財産目録がワンセットとなり、収支計算書がなくなるなど、会計報告書が大きく変わりました。

しかし、NPOの現場では混乱しているようです。税理士はプロボノとしてNPOに対して活動をしている税理士がいます。

私は、NPOが公益的活動をしていても、NPOの仕事を無償で受ける事はないですが、一般的な報酬料金よりか何割か引くような形で貢献できればと思います。無償によるボランティアは長続きしないという考えが根底にあるからです。

2013年7月7日日曜日

城下達彦先生

故城下達彦先生は国税庁のOB税理士で国税徴収法の第一人者でした。今まで色々な先生と接しましたが、城下達彦先生ほどの素晴らしい先生は会った事がありません。国税徴収法は私の税理士試験時代ではある大手の資格の学校でしか開講されておらず、その時に大変お世話になった先生です。

城下達彦先生は資格の学校で税理士の理論対策では理論の暗記をするのが普通でしたが、城下達彦先生は暗記はするな理解しろという指導でした。当時、税理士の理論対策では暗記で一字一句間違えるなという指導とは真逆な指導でした。理解したら覚えるだからそれで対応が出来ると常に言ってました。暗記が苦手な私には法律を理解して覚えるという事は、非常に向いていた指導で、城下達彦先生と会う事がなければ、税理士試験はおろか法律に興味が向かう事はなかったでしょう。

私は城下達彦先生の影響をかなり受けました。城下達彦先生は中国哲学が好きで講義の最中に中国哲学の話をされていました。城下達彦先生に国税徴収法の合格の報告をする為に連絡をしたところお亡くなりになったと聞いて茫然となりました・・・・・・・

売上を上げる事

会社の売上をあげる事で悩んでいる経営者は多いです。経費の削減は徹底して行い、残るは売り上の向上のみという会社が多いです。

何故かと言いますと、経費の削減は比較的経営者の判断で出来る要素が大きく、売上の向上は、お客様のニーズをつかむことが出来るかで、これは経営者の意思だけで、コントロールの出来ないものだからです。

お客様の心を掴む事は、お客様の満足度を上げるという事です。お客様は、それぞれ価値観が相違しながらも、お客様がある程度普遍的に考えている満足というものがあり、それを把握して、お客様の心を掴む事で、売上の向上をはかる事が出来ます。

簡単に書きましたが、それが、一番、難しいのです。堅実な経営者を見ていますと、商売の基本にかえり、徹底して根本的な事を守り、それをお客様に提供していきます。

他の経営者は、簡単に事業変更をして違うものを売るという会社も見てきましたが、それはある程度中規模以上の会社で出来る可能性がありますが、必ずしも成功するものでもありません。でも、その経営者も必死です。

経営者は、社員を雇用を守る為ため、ご自身の家族も雇うため、死に物狂いで、この不景気の中経営をしています。

私はそのような経営者と共に考えたいと思います。


2013年7月6日土曜日

社会から受け入れられる事業なのか?

事業をやっていて、経営者の独りよがりの価値観で、新たな事業をやろうとするケースをたまに見かけます。どんなに、経営者にとって、素晴らしい事であっても、それに共感する人がいなければ、それに対して対価を払う人はいないわけです。

経営者にとって、この新たな事業の理念というか価値観は、社会から受け入れられる事業かな?という事を、経営者に対して真っ直ぐにものが言える第三者が必要な場合があります。

その第三者の意見を聞くか聞かないかは、経営者が判断するだけであって、あくまでも、参考程度で構わないと思いますが、頭の片隅にいれる必要はあります。

2013年7月5日金曜日

租税法律主義

租税法律主義とは、租税の賦課・徴収は、議会の決めた法律によらなければならない、という近代税制の基本原則(地方税については租税条例主義)です。国民は法律の定めによってのみ税金を納めることが原則です。日本国憲法は84条で租税法律主義を規定しており、これが税法の解釈・適用の原則(例外はなし)になっています。

「第八十四条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。 」

租税法律主義は以下の諸原則があります。


・課税要件法定主義


課税要件法定主義とは、課税要件は全て、租税の賦課・徴収の手続きは法律によって規定されなければならないとする原則です。

・課税要件明確主義

課税要件明確主義とは、課税要件における賦課や徴収の手続は、納税者である国民がその内容を理解出来るように、明確に定められなければならないとする原則です。

・合法性の原則

課税要件が充足されてれば、課税庁には租税を減免したり、租税を徴収しないというような自由はなく、法律で定められたとおりの租税を徴収しなければならないとする原則です。

2013年7月3日水曜日

会社の理念

会社の理念を先代が決めて、後継者に引き継がれていくこと、会社の理念には普遍的な事が多く書かれています。

色々な会社の理念を見てきましたが、どれも素晴らしい事を言っています。ただ、その理念をどのような形で浸透させていくのか、朝礼の時に社員に読ませていても本当に理念が浸透しているのかなと考える事があります。

会社の理念を徹底させるには、会議において、戦略や戦術が理念をもとに練られているという事を会議の参加者に伝える必要があります。社員は、その戦略や戦術が、実際に成功した時に、理念は正しいと実感する事が出来るはずです。

中小企業でも家族経営の会社には理念を掲げていないケースが多いです。会社の規模が小さくとも、会社が長く存在し、売上が少なくとも、会社が続いているという事は、その会社が社会から認められているという事です。

家族経営だから理念は必要がないとか、考える必要もないとかおしゃる経営者もいるかもしれませんが、経営者が、会社経営における根本思想を、まわりに周知させる必要があると思います。

2013年7月1日月曜日

業績先行管理

業績先行管理とは、計画値と、ある程度確実で予測された数値との差額を把握して、その差額をなくすためにどんな手段を行うか、精神論ではなく具体的な方法を考えて差異ををなくすマーケティングの一つです。

その目的は、先行予実差異対策により目標を達成させる事、将来の視点でのマーケティングを構築する事、先行管理を徹底させる事でマーケティングを強化する事などです。

基本的な業績先行管理のエクセルが欲しい方はメールでご連絡下さい。ただし、フリーメールでお連絡を頂いた方には、セキュリティーの関係で返信は致しません。フリーメール以外のメールでしたら、私の名刺に書かれているメールで返信致します。

後継者

法人の赤字率が7割強あり、それが原因で後継者がなかなかあとを継がないケースが多いです。頼みのご子息も安定した企業に勤めていたりしているケースが多々あります。

会社で従業員を抱えている場合、当然の事ながら、従業員の生活を守る必要があります。そうなりますと、会社は、経営者のもの又は株主のものという議論はありますが、ある意味、雇用を守っている事を考えると、公的なものでもあります。

国は事業承継について、色々な政策を打ち出しましたが、肝心の会社が持ち直し、今後、経営に心配がないという状態にならない限りは、後継者は、なかなかつかないと考えられます。

事業承継の専門家がいますが、後継者がいなければ、M&Aでしか対処が出来ないケースが多いです。

しかしながら、会社の経営者は、M&Aに抵抗をもつ方が多いです。経営者自身が、長年、積み上げてきた会社を、知らない人に売る事に対して抵抗を持つからです。当然の事です。

悩ましい問題です。

2013年6月30日日曜日

生計を一にするの意味

2-47 法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。
(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
 イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
 ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
(2) 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。

「生計を一にするする」という文言で、重要な場面は扶養親族かの判定の時です。納税者と生計を一にしていないと扶養控除の対象にはなりません。その解釈をしている通達が、所得税基本通達2-47です。

上記通達を噛み砕くと、(1)イは、単身赴任者で週末に、家族のもとに変えるケースが考えられます。
(1)ロは、2-27の本文のところで、「それぞれ次による」という文言がありますから、ロは、イとロは別々に考えるので、ただ、週末等に家族のもとに帰らなくても、生活資金の送金があれば認められるという事です。海外での単身赴任ですと週末に家族のもとに帰るのは困難です。

(2)は、基本的に同居していれば、生計を一とするという解釈です。

2013年6月29日土曜日

本当の事を言うべきか・・・・・

税理士が経営者と話しているときに、会社の将来的な見通しを言うべきが悩むときがあります。経営者は、夢を追います。でも、その夢が実現不可能だと客観的に分かるときがあります。その時に税理士は本当の事を言うべきか悩むときがあるわけです。

下手をすると顧問契約解除になりますし、でも、そのまま、言わないでいると会社が傾く可能性もあります。私はどちらかというと、後者です。経営者に、私が考えている事をいいますが、あくまでも一意見として頭の片隅の置いといて欲しいという形で伝えます。

何故かと言いますと、経営判断をするのは経営者です。税理士ではありません。税理士は、判断材料となるものを提供するだけです。

2013年6月26日水曜日

不服申立手続等

不服申立ては、原則として、まず、処分の通知を受けた日の翌日から2か月以内にこれらの処分を行った税務署長等に対して「異議申立て」をします。そこで、異議申立てを受けた税務署長等は、その処分が正しかったか見直しをします。

異議申立てに対する税務署長等の決定があった後の処分に、不服があるときは、その通知を受けた日の翌日から1か月以内に国税不服審判所長に対して「審査請求」をすることができます。
審査請求では、国税不服審判所に手数料など納める必要はありません。

上記、国税不服審判所のHPより

2013年6月25日火曜日

修正申告の慫慂

修正申告を税務署の職員から慫慂(しょうよう)された場合は応じるべきかですが、経営者がその修正申告に納得しているならば、応じても構わないですが、経営者が修正申告の慫慂に悩んでいるようで、税理士に判断を経営者から求められ場合には、経営者が不服申し立てや審査請求や税務訴訟で争う気持ちが強いなら、修正申告には応じてはいけないと思います。

しかし、勝てる裁判かどうか判断に迷う場合には税務訴訟を専門にしている弁護士に相談すべきでしょう。

2013年6月23日日曜日

ワンルームマンションのカーテンの取替費用

1組として使用されるカーテンの取得価額が10万円未満である場合には、消耗品として損金の額に算入します。ただ、その10万円未満かどうかの判定は、1組として使用する部屋ごとに取得価額を判断していきます。理由としては、一部屋ごとにカーテンが必要であり、一部屋を単位とすることが相当であるからです。

2013年6月22日土曜日

租税資料館で論文執筆

本日は、公益財団法人 租税資料館http://www.sozeishiryokan.or.jp/ で論文執筆をしていました。テーマは弁護士や税理士などの士業が所属する弁護士会や税理士会での活動の過程で発生した経費が必要経費になるかどうかについてです。

最近、判決が出ているものですから、比較的、論文執筆に困らなかったです。簡単に言えば、税務署が、弁護士事務所に調査に入り、弁護士会と弁護士事務所は人格が違うから、弁護士会の活動で支出した経費は、弁護士事務所の経費にはならないよという事で争われた事件です。

地裁では、その必要経費が認められず、高裁でその必要経費が認められた判決です。

2013年6月21日金曜日

事業の器は経営者が決めるもの・・・・

個人の事業が良くなると、法人化しましょうと話をする税理士が多いかもしれないです。

法人化すれば税金は安くなる場合はありますが、社会保険は強制加入になりますので、社会保険を加味した租税公課の金額で判断を単純にする方法と、法人になれば、法人の登記は簡単ですが、事業承継がうまくいかなく法人を解散する場合もあり、かつ、法人の解散は簡単ではないので、法人にするならば、家族はもちろんの事、他人やM&Aも含めて事業承継出来る見込みも判断材料にする必要があります。

したがって、法人成りするのか個人でいくのかは、租税公課の多寡で単純に判断するのではなく、今後、経営者が、事業を長期的にどのように持って行くのかというビジョンをしっかりと持って、法人にするのか、個人経営のままでいくのかを判断された方が良いです。

2013年6月20日木曜日

過去の数字

税理士の仕事の一つに、会計データーを提供する仕事があります。でも、経営者にとっては、過去の数字であって、ただ、業績の確認と今後の改善に役立たせるまでにとどめる経営者が多いです。 

何故なら、経営者は過去ではなく将来を見て経営判断をして投資やマネジメントをしている訳であって、過去の数字は、一種の例えでいえば通信簿程度だと、考えている場合が多いです。

そこで、導入するものが予算ですが、これも、そんなに重要視しない経営者も多いのです。では、今何が求められているのか・・・・・・・・・・・・・・

税理士は会計や税務のプロであっても、経営のプロではありません。では、税理士に何が出来るかですが、それは、経営者と共に考えるという事です。

具体的なツールはあるのですがネット上の事ですのでここまでに致します。

貯蔵品の取扱い

パンフレット等の貯蔵品について、税務署等から貯蔵品ではと言われるケースがあります。これについては以下の法人税基本通達があります。

(消耗品費等)

「2-2-15 消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加)

(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。」

上記通達の文言に「事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産」とあります。これらを毎期、だいたい一定量の購入をして消費をしているならば、貯蔵品にしなくても良いですという通達です。

2013年6月19日水曜日

固定費カバー率

経費は、固定費と変動費に分ける事が出来ます。変動費は売り上げに対応する経費で、固定費は売上高に関係なく支出される経費をいいます。売上から変動費を引いたものが限界利益となります。ここまでは、経営者の皆様はご存じの事です。

ここからですが、固定費カバー率は分子に限界利益で分母に固定費、つまり、限界利益÷固定費×100=固定費カバー率といいます。限界利益の中でどれくらい固定費をカバーできているかを算出するものです。この算式を用いて100%を超えているならば、限界利益、つまり付加価値により固定費をカバーしているという事が分かります。

100%を切ってる場合は、会社が生み出している付加価値では固定費がカバー出来ていないという事を意味します。だからと言って、ただちに固定費を圧縮するという判断は、経営者の皆様はされる事はないです。経費を支出することは、言葉をかえれば投資をする事です。

したがって、長期的に固定費カバー率が100%を切っている状態でしたら問題はないですが、将来の為の投資として固定費を支出している状態でしたら問題はないという事です。

2013年6月18日火曜日

モニタリング

モニタリングとは、りスケジューリングをしている企業は毎月、銀行に機首に前後に提出した経営計画書通りに企業の業績改善ができているか、銀行員が定期的にチェックすることをモニタリングといいます。

経営計画と実績の差が大きければ、銀行は企業に対し何でそのような事になったのか、その原因と改善を求められます。また、銀行側も経営計画を見込んでのリスケジューリングの為、その差が大きいと企業は当然困りますが、銀行も困るのです。

リスケジュールをしている企業は、モニタリングに必要な貸借対照表や損益計算書、資金繰り表など、最新のものを銀行に渡せるような状態にする必要があります。

したがって、モニタリングを受けている企業は何時の間にか、しっかりとした経理体制になる事が多くなると思われます。

外注又は給与か?

外注費にするか給与にするかで、法人税の利益は影響がないですが、消費税し仕入税額控除で影響が生じます。その判断となる消費税の通達が以下です。

(個人事業者と給与所得者の区分)

1-1-1 事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいうから、個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しないのであるから留意する。したがって、出来高払の給与を対価とする役務の提供は事業に該当せず、また、請負による報酬を対価とする役務の提供は事業に該当するが、支払を受けた役務の提供の対価が出来高払の給与であるか請負による報酬であるかの区分については、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価であるかどうかによるのであるから留意する。この場合において、その区分が明らかでないときは、例えば、次の事項を総合勘案して判定するものとする。

(1) その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。

(2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。

(3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。

(4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。 

上記(1)は、外注でも給与でもどちらでも該当するケースが多いのではと・・・・・

上記(2)は、外注の場合でも指揮監督をある程度受けるケースがあると考えられます。給与は完全に指揮監督を受けます。

上記(3)は、いわゆる危険負担の事をいいます。外注では、危険負担を負いますが、給与は負わないです。

上記(4)は外注でも供与されるケースもあります。給与は自分で材料等を用意する事はないです。

上記の(1)から(4)の中で重要な要素は、(3)です。危険負担です。

しかしながら、総合的に判断ですから定規のような判断はしないです。



2013年6月15日土曜日

インターネットマーケティング

インターネットマーケティングは、インターネット上での商品やサービスのマーケティングであります。インターネットは数々のユニークな利点をマーケティングにもたらしました。

その1つは、情報の配布コストを低減したことと一般大衆を直接相手にできるメディアであります。インターネットマーケティングの相互作用性は、素早い応答と相手の反応を引き出すのが特徴で、メディアとしては相当な利点であります。

インターネットマーケティングは狭義にはインターネットや電子メールなどを利用したマーケティングですが、広義にはデジタル化された顧客データ管理システムや電子的な顧客関係管理システムも含みます。一般的には狭義の定義で認識されている事が多いです。

インターネットマーケティングはまた、顧客獲得の為に検索エンジン最適化 (SEO)、特定サイトでのバナー広告、電子メールマーケティングなどを意味します。

イメージ広告(デザイナーが綺麗で芸術性が高いと考えるもの)ですと、それは、単なる自己満足の世界です。広告すればそれが集客につながらなければ意味がないのです。


このインターネットマーケティングが出来る人材が少ないです。また、HP製作会社でさえもインターネットマーケティングを理解してHPを作るかというとそうではないので、注意が必要です。

SEO対策として、例えばHPやブログなどに特定の言葉を多く使いすぎますと、グーグルの検索エンジンがスパムと判断して、検索の上位に検索されないので注意が必要です。

よく見受けられるのが、会社の名前を検索して検索出来たと喜んでいる人です。よく考えて頂きたいのは、消費者は、会社名を検索しないのです。例えば、旅館を探しているとしたら、特定の旅館名ではなく、例えば、「長野県 旅館」や「東京都 旅館」、「旅館 検索サイト」、「旅館 評判」などのキーワードで検索をしています。

法人格否認の法理について、論文をブログにあげても良いとの許可がおりました。

法人格否認の法理

Ⅰ 法人格否認の法理の定義
 法人格とその背景にいる人を形式的に独立した存在としてとらえると、背後の人が法人を盾に法的責任や義務を不当に逃れてしまう場合に、法人格を否認し、法人と背後にいる人を同一視することにより、背後にいる人の責任を問うことができるという理論のことをいう。
 債務など法的責任を逃れる目的で新会社を設立するなど、法人格が濫用される場合や、法人として運営されている実態がなく、形骸化している場合には、原告の訴えによりこの法理が適用される事がある。注1

Ⅱ 法人格否認の法理の根拠
 法人格否認の法理の実定法上の根拠としては、ドイツ学説がこれをドイツ民法226条の権利濫用禁止に求めているのと同様に、我が国でも民法1条3項の権利濫用の禁止規定類推適用に求めるのが正当である。なお、このことにより法人格否認の法理を法人格の濫用の場合に限定するのが正しいという結論に導かれる。注2

Ⅲ 租税正義を実現する為に法人格否認の法理を適用しなくても律する事が出来るか

判例法上の認められた法人格否認の法理は、実体法で規定されていないことを考えると、立法府である国会を無視した判例で、租税法律主義で厳格に適用されるべき税法において、判例法を持ち出すことは、私法である民法や商法等について類推適用するならともかく、厳格に適用すべき税法において、適用すべきものではないと考えられる。そこで、実質所得者課税の原則や同族会社の行為又は計算の否認、民法の一般条項である権利乱用や信義則、第二次納税義務により、法律のあるもので適用することで、法人格否認の法理を使う必要はないと考えられる。

  • 実質課税所得者課税の原則
法人税法11条 資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属すると見られる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の法人がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する法人に帰属するものとして、この法律を適用する。注3

  • 同族会社の行為又は計算の否認
法人税法132条 税務署長は、一定の法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。注4

  • 民法の一般条項である権利乱用や信義則
民法第1条
1項 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2項  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
  • 権利の濫用は、これを許さない。注5

  • 第二次納税義務
第二次納税義務の制度とは、納税者が租税を滞納した場合において、その者の財産に対して、第二次納税義務を負わせることにより、その不足額につき納付義務を生ぜしめ、その者に対しても滞納処分の執行を可能ならしめる制度であり、国税徴収法第3章にその規定がある。注6

Ⅳ まとめ
税法において法人格否認の法理で事業再生の場面と言えば、第二会社方式や会社分割であると考えられる。第二会社方式や会社分割は、事業再生の場面において、弁護士である法律家が、事業再生法人の利害関係者との折衝にあたり、利害関係者の合意が得られれば、事業再生において、第二会社方式や会社分割という事業再生のスキームを使っても良いが、利害関係者の合意が得られなければ、税務署等が国税等の徴収をはかるときには、判例法である法人格否認の法理ではなく、上記Ⅲの実体法にもとづいた徴収を行うべきであって、法律で規定されていない法人格否認の法理は使うべきではないと考えられる。



参考文献
  • 元榮太一郎(2012)『法律用語辞典』三修社
  • 井上 和彦(1995)『法人格否認の法理』千倉書房
  • 武田 昌輔 『DHCコンメンタール法人税法』第一法規 
  • (2013)『六法全書』有斐閣

注書き
注1 元榮太一郎(2012)『法律用語辞典』三修社 870頁
注2 井上 和彦(1995)『法人格否認の法理』千倉書房 94頁
注3 武田 昌輔 『DHCコンメンタール法人税法』第一法規 951頁
注4 武田 昌輔 『DHCコンメンタール法人税法』第一法規 5531頁

注5 (2013)『六法全書』有斐閣 3256頁
注6 井上 和彦(1995)『法人格否認の法理』千倉書房 139頁



社会通念

税法の通達で社会通念という文言がよく規定されています。

社会通念を辞書で調べますと「社会一般に通用している常識または見解。法の解釈や裁判調停などにおいて、一つの判断基準として用いられる。」と書かれています。

「社会一般に通用している常識又は見解」という文言が気になるところだと考えられます。私の考えですと「社会一般に通用している常識又は見解」というものは絶対的な尺度で測れないということ、要するに相対的に考えるということです。

この相対的に考えるということが、やっかいなのです。ここから先は、ネット上では公開するのは難しいです。


2013年6月13日木曜日

日当

国内の出張又は転勤のために、役員又は使用人に対して支給した出張旅費、宿泊費、日当については、支給した金額のうちその旅行について通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れになります。
(注)

「その旅行について通常必要であると認められる部分の金額」の範囲については、所基通9-3《非課税とされる旅費の範囲》の例により判定します。

したがって、社会通念上通常と必要と認められる部分を超える場合には、課税仕入れには該当しません。この社会通念が難しいところで、税理士が悩むところです。私は答えが出ますが・・・・ネットで公開は出来ないところです。